子どもたちの「芸術」への入り口はどこにあるのか?

「子どもたちの『芸術』への入り口」は、身近な大人にある。
そんな経験をした記録と共に、想いを書き留めていこうと思います。

「身近な大人」とは?
音楽で言えば、音楽の先生、ピアノの先生、
もちろんその他の楽器の先生。
要は、子どもと普段定期的に触れることができる先生のことです。

私自身も、保育園や学校に外部から入る音楽指導者として、
そんな「身近な大人」の一人でありたいと思っています。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

2025年3月の出来事です。
保育園の年長さんの最後のレッスンがありました。
身体を動かしたり、クイズ形式だったり、グッズを使ったり。
みんなの大好きなプログラムをザーッと復習して、
レッスンのラストに、私のピアノの演奏で、みんなへの感謝の想いを伝えました。

実は当日まで、私のピアノ演奏は無しに、みんながキャー!と楽しめるプログラムで締めようと思っていたのです。
でも、園に向かう電車の中で、ふと
「本気でみんなの前でピアノを弾いたらどうなるのだろう」
という考えがよぎり、急遽ピアノソロを弾こう!と思い立ったのでした。

曲はショパンの「子犬のワルツ」。

保育園のピアノ

弾く前に曲のタイトルと、この曲に私自身が何を感じながら弾いているかを伝え、
「みんなはどのように聴こえるかな?」と会話をして演奏をスタートしました。

本気で弾く。
どんなにザワザワした空間でも、
音楽に集中して音楽の世界観で弾ききる。
それだけ決めて演奏しました。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

演奏が終わる頃、子どもたちは静まりかえっていました。
赤ちゃんの部屋から覗き見てくれている子もいました。
園全体が静寂に包まれた感じがしました。

最後の音の響きを見送って、ふと空気を緩めた時、
みんなの空気も緩んで、子どもたちから色んな感想が飛んできました。

くるくるしてるーー
はやーーーーい
あそんでいるみたいーーー
すごーーーい
きいたことあったーーー
けいたいのおんがくだーーー(着信音?笑)
「おーーーーーなんか『げいじゅつ』みたいだったよーーーー!!!」

すっごく嬉しかった!そうか、みんなが聴き慣れていないピアノソロのクラシック音楽でも、子どもたちに「何か」伝わったのだと。

ある子は、音楽に合わせて楽しそうにクルクル踊っていたと、後に先生から聞きました。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

ところ変わって、中高生。
先日、中高の合唱部で定期演奏会がありました。
生徒ちゃんたちの成長をとても感じたステージ。
本当に頑張っていました!

中高合唱部演奏会ホール

演奏会後、高校3年生のみんなからお手紙をいただきました。

「初めての伴奏合わせの時、急に色彩が見えてきて、鳥肌がたった。今も心に残っている」
「音とりの段階では掴めなかった曲のイメージが、初めての伴奏合わせで一気に世界観が広がった」

※言葉はニュアンスのみ

ものすごく嬉しかった。
その他にも、外部からピアニストとして生徒ちゃんたちと接するにあたり、
自分が大切にしていることに対しての言葉も多く、
「あーー、みんなの経験のほんの1ミリでも私が存在した意味があったのかな」
と感慨深く思いました。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

もちろん有名な音楽家から影響を受けることもあると思います。
でも、意外に大人になるまで(もしかしたら大人になっても?)
教育機関の音楽のみしか生の音楽に触れる機会がない子も
多いのではないでしょうか。

  • 親御さんが音楽が好き
  • 教育機関が音楽を大事にしている
  • 音楽の習い事をしている

こうした機会が少ない子どもにとっては、
学校や保育園での音楽体験がすべて、ということが
意外と多いのではないかと思います。

そんな中で、身近な先生が
(外部からくる専任講師、学校の先生、習い事の先生も)
ただ楽しいだけでない「何か」を子どもたちに伝えられたら。
「何か」が彼らの心に残る、
「何か」いつもと違う空間になる。
そんな「芸術」の入り口を届けることができたら!

子どもたちの「心が動く」。
それが「芸術」への第一歩だと思うのです。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪

何歳になってからでも良い。
そう心動かされた子どもたちが、
何かを感じ、様々なことに興味を持ち、
新たな感情を知り、世界を広げていく。

保育園の音楽指導も、小中高の音楽部(合唱)のピアノ伴奏も、
子どもたちに「伝わるものは伝わってる!!!」
これを確信しました。

子どもたちってすごいんですよ。本当に。
尊い子どもたちから沢山エネルギーをもらって、
若いパワーに導かれながら、もう少し頑張りたい。
そう思えることが続いた3月でした。

「おーーなんかげいじゅつみたいだった!!」

この子のこの言葉を胸に、
私はどんな時も「芸術」を目指したい。
ただ弾くだけでなく、「何か」を感じていただけるよう。
そういう想いで「身近」なピアニスト、ピアノの先生、
園の音楽の先生として、これからも精進していきたいと思います。

桜

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